振り下ろし

釣り上げられた糸が切られたように

『振り上げ』の動作が完了した状態を、天井からスティック先と肘に2本の真っ直ぐ細い糸で吊られている状態と仮定します。
『振り下ろし』の動作とは、この2本の糸が同時にプツンと切られたように、スティックと腕が同じタイミングで降ろします

間違ってはいけないのが、『振り落とし』ではありません。腕が勝手に降りていくだけであって、意図的に落とす操作をしません。

『振り下ろし』によってスティックに伝えたいエネルギーは『重力』と『遠心力』だけです。

これらは肩を軸とする腕が高い位置から降下すれば勝手に発生する自然エネルギーです。

腕を振り下ろすためのチカラをわざわざ使うようなことをしてはいけません。

腕を振り下ろすのにチカラを使うと、ただ落下するよりもスピードを加えられ、より強いエネルギーがスティックに与えられます。しかし、この強いエネルギーが与えられたスティックで楽器を叩くと大きい音はしますが、ヘッドを(皮)を充分に振動させるには至らず、響きを通常よりも減衰させてしまいます。

腕のチカラは一切伝えず、『重力』と『遠心力』だけをスティックに伝える。

これが『振り下ろし』の重要なポイントになります。

叩いた直後に跳ね上がるスティックは止めない

振り下ろして叩いた直後、スティックが跳ね上がるようにリバウンドします。このエネルギーは殺すことなく、そのまま跳ね上がらせてエネルギーを逃します。

ただし、腕や手は振り下ろしを終えたら構えの位置に停止します。スティックの跳ね上がりには連動しません。

『スティックの持ち方』で説明した「軸」は覚えているでしょうか。

この「軸」がちゃんと機能していると、“スティックのリバンド”と“腕や手の停止”を同時に行うことができます。

振り下ろして叩いた後、腕や手を一切動かさなくても、スティックのリバウンドが「ターンタァンタンタタタ…」となるべく長く継続できるでしょうか?

リバウンドが長く継続出来れば出来るほど、振り下ろし方やスティックの持ち方がより理想的な状態になっている証拠となります。

この理想的な振り下ろしの状態を維持したままで、スティックが一回叩いてリバウンドした後スティックの根本を生命線(母指球と小指球の間)に当てて構えの位置でスティックが停止するようにコントロールします。

これによって、一回の振り上げ・振り下ろしにつき、一度だけ叩く動作が完成します。


まとめ

スティックに伝えるエネルギーは『重力』と『遠心力』だけ

自然にスティックをリバウンドさせる

リバウンドで二回以上鳴らないように、根本を当てて制止させる。