スティックの材質とチップの形状

スティックを買いに楽器屋へ行くと、様々な種類のスティックに選択を悩まされることはないでしょうか。

それぞれのスティックの長所・短所はどんなものか?

どういう用途で使い分けるべきか?

結局どれを選べば良いのか?

まずは、使われる木材ごとの特徴と、先端にあるチップの形状ごとの特徴を理解しましょう。

材質

様々な種類がありますが、主に多く流通しているのは「ヒッコリー」と「メイプル」の2種類です。

ヒッコリー(hickory)

硬度
 (3.5)
重量
 (3)
音色(共鳴度)
 (2)


この材質は木の密度が高いため丈夫であり、傷がつきにくく長持ちしやすいです。
適度なしなやかさと丈夫さから、スキー板や体操のバーなどによく使われているほどです。

楽器店でもヒッコリー材のスティックが多く、初心者から取り扱いやすいです。

メイプル(Maple)

硬度
 (2)
重量
 (2)
音色(共鳴度)
 (3.5)

木の密度がヒッコリーより低く、比較的軽いため扱いが楽です。

スティック自体も打撃の振動が共鳴しやすく、豊かな音色をもたらしやすいです。

しかし、密度が薄いのでダメージがかかりやすく、リムショットをすると凹みが簡単についてしまいます。

共鳴性能が高い材質はどれも耐久性が低いものばかりなのですが、その中だとメイプルは比較的丈夫です。

ジャズやアコースティックなどでは重宝されます。

他にもよく流通している材質があります。その中でもよくあるのが「オーク」と「ローズウッド」です。

オーク(Oak)

硬度
 (5)
重量
 (4)
音色(共鳴度)
 (1)

スティックの中では硬度が高く、頑丈です。

ロックドラムなど激しいアクションを伴う演奏をするなら、オーク材は最も適しています。

サウンドも音色よりパワー系の方が得意としています。

木の密度が高いため、ヒッコリーよりもずっしりとした印象をもたらします。

スティック自体の重量と密度があるため、振り回しはヒッコリーやメイプルほどの自由性はありません。

しかし、安定性と力強さ、耐久性には優れています。

ローズウッド(Rose wood)

硬度
 (1)
重量
 (1)
音色(共鳴度)
 (5)

見かける頻度自体は高くありませんが、演奏の場面次第では必要となる材質です。

ローズウッドは密度が低いため、耐久性能は持ちません。

しかし、スティックの共鳴度合は郡を抜く代物であり、打音にとても豊かな音色を加えることができます。

通常、リム(スネアドラムの縁)を叩いてもホールの客席にはほとんど音が飛びません。しかし、ローズウッドのスティックだと驚くほどハッキリとリム音が会場へ綺麗に響き渡ります。
これは、スティックそのものから鳴る音が空間へ響いていることの証明となります。

コンクール曲でリム音の指定がある場合は、確定でローズウッドのスティックを用いるべきと言わざるを得ないほど、このスティックは特質性を持っています。

ただ、とても脆いので簡単に損傷してしまいます。

チップの形状

スティックの先端にあるチップですが、これも様々な形状があります。

あまり気にせずスティックを購入する人達もいると思いますが、どんな用途でそのスティックを使うのか次第で相性が悪くなる可能性があります。

基礎練習用なのか、ドラム用なのか、1本で表現の幅を広く出す用なのか。

それぞれの特徴を理解し、よく考えて選ぶべきポイントです。

丸型(球型)

打撃時に当たる面積が一定となる形状。

どこに当たっても鳴り方が必ず同じになるので、最も扱いやすい簡単な形状です。

初心者はまずこの形状で安定した音が鳴らせるよう練習することをオススメします。

ムラのない演奏が可能となるので、非常に繊細な演奏が求められる曲にも向いています。

俵型

丸型よりもパワーが出やすい形状。

表現力よりもインパクトに特化したものなので、音量が欲しい時のドラム演奏に向いています。

表現の幅はあまり出せないことと、手加減がしにくい要素を含んでいるので、アンサンブルにはあまり向いていません。

卵型(ラグビー型)

丸型と俵型の要素を併せ持つ形状です。

丸型よりも音色幅を広く保たせることができ、俵型よりも加減が自由にできるメリットを持ちます。

その分、チップに当たる位置によって意図しない変化を与えてしまう可能性があります。

「チップのどこで鳴らすか」をきちんと操作できるようになれば、実践で輝ける形状となっています。

ティアドロップ型

卵型よりも先端がより鋭くなっている形状。

卵型よりさらに音色表現の幅を広げ、あらゆる演奏を可能にする。

小さい音量・柔らかな雰囲気にはチップの先端で、大きい音量・力強い雰囲気にはチップの根本で、と使い分けることができます。そうすると、同じ曲・同じスティックでも場面ごとに表情の変わる豊かな音楽性を与えられます。

実践場面で非常に重宝しますが、それだけ技術的に難易度が高い形状となっています。